2022年10月14日
消費者庁は『日本アムウェイ合同会社』に
6カ月の取引停止命令と
再発防止策を講じることなどを求める
『指示処分』を出したと発表しました。

以前から問題視されてはいたけど、
アムウェイへの行政処分はこれが初めて。
- 何が原因だったのか?
- アムウェイの仕組みや
ビジネスの実態 - ネズミ講とマルチ商法の違い
- よくある勧誘の手口
- 最近の手口と『違法勧誘』について
詳しくまとめてみました。
【アムウェイ業務停止命令】
なにが原因だったのか?
↓消費者庁の発表によると、
これら4種類の違反が原因だったようですね。
- 社名や目的を言わずに勧誘した
- 誘った相手を、目的を告げずに
自宅や事務所に連れ込んで勧誘した - 相手の意向を無視して一方的に勧誘した
- 契約締結前に書面を交付しなかった
『社名や目的を言わずに勧誘した』
ことなどが、特定商取引法違反に当たるとして
6カ月の取引停止命令と
再発防止策を講じることなどを
求める「指示処分」を出したとのこと。
アムウェイの仕組みと『ビジネスの実態』
アムウェイは、アメリカ発祥の会社で
日用品・化粧品・栄養補給食品など
自社で開発した製品を販売しています。
- 洗剤
- 浄水器
- 鍋・フライパン
- キッチン用品
- 空気清浄機
- スキンケア用品
- サプリメント
- 調味料・食品
- 飲料
などなど、幅広い商品を
取り扱っているのですが…
問題視されているのは
その商品の売り方。
『マルチ商法(連鎖販売取引)』
- MLM(マルチレベルマーケティング)
- ネットワークビジネス
とも呼ばれています。
簡単に言うと
- 個人を販売員として勧誘する
- その個人に
次の販売員の勧誘をさせる
という形で、販売組織を
連鎖的に拡大させていく手法のこと。
アムウェイの商品を購入して
販売組織に参加した会員Aが
友人Bを勧誘して
商品購入&組織に加入させる。
⇒会員Aは、アムウェイ商品販売に
成功し『小売り利益』を得る
友人Bも会員となり
友人Cを勧誘して
商品購入&組織に加入させる。
⇒友人(会員)Bは
アムウェイの商品販売に
成功し『小売り利益』を得る
⇒会員Aは、新たな会員を増やすことに成功し『リクルートマージン』を得る
という感じで、
販売組織を連鎖的に拡大していくのです。
アムウェイには、
22段階の『ピン・レベル』という
ランクや階級に似た概念があり
アムウェイの売上に
貢献すればするほど
報酬は増えるし
ボーナスも多くもらえます。
成功者は年間『1億円以上』の
収入を得ているのだとか…

もちろん、そんな人は『ほんの一握り』で
ほとんどの会員が稼げていないどころか
勧誘トラブルがきっかけで
人間関係が悪化して
何人もの友人を失ってしまったり、
ピン・レベルを維持するために
「月間〇〇円以上の売上を
達成しなければならない」
というノルマを達成しなければと
自分で商品を購入して穴埋めをしています。
「いつか、しっかり稼げるようになるから」
「ピン・レベルを維持し続けなきゃ」
「頑張ってランクアップしなきゃ」
「もう少し頑張れば…」
「あとちょっと…」
そうやって、ノルマの穴埋めを続けて
自腹で大量に
アムウェイの商品を購入し続けて…
気づけば借金地獄に
陥ってしまう人もいるので
ビジネスの実態はかなり闇深いです。
ねずみ講とマルチ商法の違い
怪しいイメージが強い
マルチ商法ですが…
実は違法ではありません。
さまざまな規制はかけられているけど
一応合法なのです。
違法なのは『ねずみ講(無限連鎖講)』
無限連鎖という言葉の通り、
会員がねずみ算的に
『無限に増えていく』
という特徴がある違法ビジネスです。
マルチ商法とは違い
ねずみ講では商品は扱いません。
実体のない金品の受け渡しを
目的とした取引を行います。
- Aは会員費を支払い
組織に加入して『親会員』になる - 友人や知人を勧誘して
2人以上の『子会員』を集める - 子会員は『会員費』を支払い
組織に加入する - 受け取った会員費の一部はAに
残りは『Aより上の親会員』に流れる
という感じで、
上の階層の人が
下の階層の人の儲けを
吸い上げていく
ピラミッド構造になっています。
だから、上にいればいるほど得をするし
下になればなるほど
勧誘が難しくなり
会員費を回収できずに損をする…
勧誘できなくなれば
収入は途絶えて
ビジネス自体が破綻する。
無限に会員を増やせるといっても
人口は有限なので、
ねずみ講(無限連鎖講)は
最終的には『必ず崩壊する』
システムなのです。
マルチ商法の場合は
扱う商品があるので、
会員が実際に商品を販売して
売上を得ることで
組織が成り立っています。
【合法】マルチ商法=商品取引がある
【違法】ねずみ講=商品取引がない
扱う商品の有無が
合法・違法の分かれ目に
なっているんですね。
マルチ商法は
収入が得られる範囲が
決まっているので、
(紹介料を得られるのは
ひ孫会員までなど)
『上にいる人=販売力がある人』
であるところも
ねずみ講とは異なります。
上にいる人=先に会員になった人
上にいる人=販売力がある人
販売力があれば、先に入った会員を
追い抜くことができるので
商品が流通している限りは
『健全に働くシステム』
であるという点が
マルチ商法が、違法と判断されない
要因になっています。
よくある勧誘の手口
一応合法であるマルチ商法ですが…
その勧誘方法は、法律に反した
『違法勧誘』である場合が多く
事前にアムウェイの名前を全く出さずに
友人・知人を
ホームパーティーやオフ会
バーベキューなどに呼び出し
「アムウェイって知ってる?」と
強引な勧誘を行うのが
メジャーな手口。
セミナーへの招待なんかも
よくあるやり方で
「美容やダイエット関係の
セミナーがあるから一緒に行かない?」
と、美容や健康に
興味のある人をセミナーへ誘い
アムウェイの化粧品やサプリメント
などを販売したり
「資産運用のセミナーが
あるから一緒に行かない?」と誘い
資産運用するためには
まず資金が必要。
アムウェイのビジネスで
お金を増やしましょう!
という流れでABO
(アムウェイビジネスオーナー)
の登録を促したりしています。
もちろん事前に
アムウェイの名前は一切出さずに。
マルチ商法では、
営業や勧誘の意図を
事前に伝えた上で
アポイントを取ることが
法律で定められているのですが…
それを守っているアムウェイ会員は
どれくらいいるのでしょうか?
最近の手口と『違法勧誘』
最近よく使われているのは
SNSを悪用した
『デート商法』と呼ばれる手口。
マッチングアプリで出会い
相手と親しくなって
感情移入させたところで
アムウェイの商品を購入させたり
アムウェイ会員になるよう
入会を迫ったりするというやり方。
…悪質ですよね…
【アムウェイ業務停止命令】
今後どうなる?
業務停止命令が出たということで、
6ヶ月間は確実に
アムウェイ商品の販売や
入会を勧めるような行動は
できなくなります。
全く活動できなくなるというのは
ビジネス的に大打撃な印象ですが…
アムウェイ会員的には
どうなんですかね?
ピン・レベルを維持し続けたり
ランクアップするために
借金までして
自腹で商品を購入している人が
ほとんどなわけじゃないですか。
今の時代、少ない元手で稼げる方法が
たくさんあるんだから
悪質な勧誘なんかしなくても
売れるような商品を売ればいいんですよ。
アムウェイにこだわる必要なんてない。
今回の業務停止命令をきっかけに
他のビジネスにも
目を向ける事ができれば、
むしろ良いきっかけになるのでは?
と思ったりもします。
それで、多くのアムウェイ会員が
解約すれば『悪質な勧誘』も減るだろうし…
悪質な勧誘なんてしなくても
大きな結果を出せる人だけが残れば
消費者庁から指示されていた
『再発防止策』にもなりますしね。
まぁ、そんな人がいたらの話ですけど。
そういう人は、アムウェイじゃなくても
大きな結果を出せるだろうし
むしろアムウェイじゃない方が
労力は少なく、稼げる金額も大きくなるはず。
今の時代、少ない元手や労力で
稼げる方法なんていっぱいありますからね。